いじめ防止基本方針

Ⅰ いじめ問題に関する考え方

1 いじめとは
 (いじめ防止対策推進法 第2条)             
 「いじめ」とは、「児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等児童等と一定の人間関係のある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。  

2 いじめの基本認識
① いじめとはどの子にも、どの学校にも起こり得るものである。
② いじめは人権侵害であり、人として決して許される行為である。
③ いじめは大人には気づきにくいところで行われることが多く発見しにくい。
④ いじめはいじめられる側にも問題があるという見方は間違っている。
⑤ いじめはその行為の様態により暴行、恐喝、強要等の刑罰法規に抵触する。
⑥ いじめは教職員の児童観や指導の在り方が問われる問題である。
⑦ いじめは家庭教育の在り方に大きな関わりをもっている。
⑧ いじめは学校、家庭、地域社会などすべての関係者がそれぞれの役割を果 たし、一体となって取り組むべき問題である。

3 いじめ防止の基本姿勢
① いじめを許さない、見過ごさない雰囲気づくりに努める。
② 児童一人一人の自己有用感を高め、自尊感情を育む教育活動を推進する
③ いじめの早期発見のために、様々な手段を講じる。
④ いじめの早期解決のために、当該児童の安全を保証するとともに、学校内だけでなく各種団体や専門家と協力して解決にあたる。
⑤ 学校と家庭が協力して、事後指導にあたる。

Ⅱ 未然防止

1 子どもたちや学級の様子を知る

① 教職員の気づきが基本
 子どもや学級の様子を知るためには、教職員の気づきが大切である。同じ目線で物事を考え、子どもたちと場を共にすることが必要である。その中で、子どもたちの些細な言動から、個々の置かれた状況や精神状態を推し量ることができる感性を高めていくことが大切である。
② 実態把握の方法
 子どもたちの個々の状況や学級・学年・学校の状態を把握したうえで、いじめ題への具体的な指導計画を立てることが大切である。そのためには、子どもたちび保護者への意識調査や学級内の人間関係をとらえる調査等を行う。

2 互いに認め合い、支え合い、助け合う仲間づくり

① 子どもたちのまなざしと信頼
 子どもたちは、教職員の一挙手一投足に目を向けている。教職員の何気ない動が、子どもたちを傷つけ、結果としていじめを助長してしまう場合がある。教職員は、子どもたちの良きモデルとなり、慕われ、信頼されることが求められる。

② 心の通い合う教職員の協力協働体制
 温かい学級経営や教育活動を学年や学校全体で展開していくためには、教職員共通理解が不可欠であり、互いに学級経営や授業、生徒指導等について、尋ねたり相談したり、気軽に話ができる職場の雰囲気が大切である。そのためには、校内組が有効に機能し、様々な問題へ対応できる体制を構築するとともに、子どもたち向き合う時間を確保し、心の通い合う学校づくりを推進することが大切である。

③ 自尊感情を高める、学習活動や学級活動、学年・学校行事
 授業をはじめ学校生活のあらゆる場面において、他者と関わる機会を工夫し、れぞれの違いを認め合う仲間づくりが必要である。その中で「こんなに認められた「人の役に立った」という経験が、子どもたちを成長さる。また、教職員のどもたちへの温かい声かけが、「認められた」と自己肯定感につながる。

3 命や人権を尊重し豊かな心を育てる

① 人権教育の充実
 いじめは、「相手の人権を踏みにじる行為であり、決して許されるものではないことを子どもたちに理解させることが大切である。また、子どもたちが人の痛みをいやることができるよう、人権教育の基盤である生命尊重の精神や人権感覚を育とともに、人権意識の高揚を図る。

② 道徳教育の充実
 未発達な考え方や道徳的判断力の低さから起こる「いじめ」に対し、道徳の授が大きな力を発揮する。とりわけ、いじめ問題は、他人を思いやる心や人権意の欠如から発生するものであり、いじめをしない、許さないという、人間性豊か心を育てることが大切である。
 子どもたちは、心根が揺さぶられる教材や資料に出会い、人としての「やさしさ「心づかい」等に触れれば、自分自身の生活や行動を省み、いじめの抑止につなると考えられる。道徳の授業では、学級の子どもの実態に合わせて、題材や資等の内容を十分に検討したうえで取り扱う。

4 保護者や地域の方への働きかけ
 PTAの各種会議や保護者等において、いじめの実態や指導方針などの情報を提供し、意見交換する場を設ける。また、いじめのもつ問題性や家庭教育の大切さなどを具体的に理解してもうために、保護者研修会の開催やHP、学校・学年だより等による広報活動を積的に行う。

Ⅲ 早期発見

1 いじめに気づく力

① 子どもたちの立場に立つ
 一人一人を人格のある人間としてその個性と向き合い、人権を守り尊重した教活動を行わなければならない。そのためには、人権感覚を磨き、子どもたちの葉をきちんと受け止め、子どもたちの立場に立ち、子どもたちを守るという姿勢取る。

② 子どもたちを共感的に理解する
 集団の中で配慮を要する子どもに気づき、子どもたちの些細な言動から、表情裏にある心の叫びを敏感に感じ取れるような感性が求められている。そのためは、子どもたちの気持ちを受け入れることが大切であり、共感的に子どもたちの持ちや行動・価値観を理解しようとするカウンセリング・マインドを高めることが必要である。

2 早期発見のための手立て

① 日々の観察 ~子どもとともに~
 休み時間や昼休み、放課後などに子どもたちの様子に目を配る。「こどもたちとともに」を目指し、子どもたちとともに過ごす機会を積極的に設けることはいじめ発見に効果がある。

② 観察の視点 ~集団を見る視点~
 成長の発達段階からみると、子どもたちは小学校中学年以降からグループを形し始め、発達の個人差も大きくなる時期でもあることから、その時期にいじめが生しやすくなる。その発達時期をどのように過ごしてきたかなど担任を中心情報を収集し、学級内にどのようなグループがあり、そのグループ内の人間関係がうであるかを把握する必要がある。また、気になる言動が見られた場合、グープに対して適切な指導を行い、関係修復にあたることが大切である。

③ 日記の活用 ~コメントのやりとりから生まれる信頼関係~
 必要に応じて気になる子どもには日記を書かせたりすることで、担任と子ども保護者が日頃から連絡を密に取ることで、信頼関係が構築できる。気になる内に関しては、教育相談や家庭訪問等を実施し、神速に対応する。

④ 教育相談 ~気軽に相談できる雰囲気づくり~
 日常の生活の中で教職員の声かけ等、子どもたちが日頃から気軽に相談できる境をつくることが重要である。それは、教職員と子どもたちの信頼関係の上で形成されるものである。

⑤ いじめ実態調査アンケート ~アンケートは、実施時の配慮が重要である~
 年に1回アンケートを実施する。また、必要に応じて随時実施する。いじめられている子どもにとっては、その場で記入することが難しい状況もえられるので、実施方法については、記名、無記名、持ち帰り等、状況に応じて慮し実施する。また、アンケートはあくまでも発見の手立ての1つであるという認識である。

3 相談しやすい環境づくり

①本人からの訴え
◎心身の安全を保証する
◎事実関係や気持ちを傾聴する

② 周りの子どもからの訴え
◎心身の安全を保証する
◎安心感を与える

③ 保護者からの訴え
◎日頃から信頼関係を築く
◎相手の気持ちを十分に理解する

Ⅳ 早期対応

 いじめの兆候を発見した時は、問題を軽視することなく、早期に適切な対応することが大切である。いじめられている子どもの苦痛を取り除くことを最優先に迅速な指導を行い、解決に向けて一人で抱え込まず、学年及び学校全体で組織的に応することが重要である。また、いじめの再発を防止するため、日常的に取り組む践計画を立て、継続的に見守る必要がある。

1 いじめの基本的な流れ
いじめ情報のキャッチ  ・いじめ対策委員会を招集する
   ↓          ・いじめられた子どもを徹底して守る
   ↓          ・見守る体制を整備する
   ↓
正確な実態把握        ・当事者、周りから聞き取り、記録する
   ↓          ・関係教職員と情報を共有し、正確に把握する
   ↓          ・全体像を把握する
   ↓
指導体制方針決定    ・指導のねらいを明確にする
   ↓          ・全教職員の共通理解を図る
   ↓          ・対応する教職員の役割分担を図る
   ↓          ・教育委員会、関係機関との連携を図る
   ↓
子どもへの指導・支援  ・いじめられた子どもを保護し、心配や不安を取り除く
   ↓          ・いじめた子どもに、相手の苦しみや痛みに思いを寄せる指導を十分に行う中で
   ↓          ・「いじめは決して許されない行為である」という人権意識をもたせる
   ↓
保護者との連携     ・具体的な対応策を話す
   ↓          ・協力を求め、今後の学校との連携方法を話し合う
   ↓
今後の対応       ・継続的に指導や支援を行う
            ・カウンセラー等の活用も含め心のケアにあたる
            ・心の教育の充実を図り、誰もが大切にされる学級経営を行う

2 いじめ発見時の緊急対応

① いじめられた子ども・いじめを知らせた子どもを守り通す
◎子どもから話を聴く場合は場所、時間等に慎重な配慮を行う
◎子どもを徹底して守るため、教職員の目の届く体制を整備する

② 事実確認と情報の共有
◎複数の教職員で対応し、管理職の指示のもとに教職員間の連携と情報共有を行う
◎いじめを行うに至った経過や心情などを聴き取るとともに、第三者からの情報も得て、正確に把握する

把握すべき情報例
◇誰が誰をいじめているのか
◇いつ、どこで起こったのか
◇どんな内容のいじめか?どんな被害を受けたのか?
◇いじめのきっかけは何か?
◇いつ頃から、どのくらい続いているのか?

3 いじめが起きた場合の対応

① いじめられた子どもに対して
◎子どもに対して
・事実確認とともに、つらい気持ちを受け入れ、共感することで心の安定を図る。
・「最後まで守り抜く」「秘密を守る」ことを伝える。
・必ず解決できることを伝える。
・自信を持たせる言葉をかけるなど、自尊感情を高めるよう配慮する。

○保護者に対して
・家庭訪問等で面談し、事実関係を直接伝える。
・学校の指導方針を伝え、今後の対応について話し合う。
・保護者のつらい気持ちや不安な気持ちを共感的に受け止める。
・継続して家庭との連携を取りながら、解決に向かって取り組むことを伝える。
・家庭での子どもの変化に注意してもらい、どのような些細なことでも相談するよう伝える。

② いじめた子どもに対して
◎子どもに対して
・いじめた気持ちや状況などについて十分に聞き、子どもの背景にも目を向ける。
・心理的な孤立感、疎外感を与えないようにするなど一定の教育的配慮のもと、毅然とした対応と粘り強い指導を行い、いじめが人として決して許されない行為であることやいじめられる側の気持ちを理解させる。

○保護者に対して
・正確な事実関係を説明し、いじめられた子どもや保護者のつらく悲しい気持ちを伝え、よりよい解決を図ろうとする思いを伝える。
・「いじめは決して許されない行為である」という毅然とした姿勢を示し、事の重大さを認識させ、家庭での指導を依頼する。
・子どもの変容を図るために、今後のかかわり方を一緒に考え、具体的に助言をする。

③ 周りの子どもたちに対して
・当事者だけの問題にとどめず、学級、学年、学校全体の問題として考え、いじめの傍観者からいじめを抑止する仲裁者への転換を促す。
・「いじめは決して許さない」という毅然とした姿勢を、学級・学年・学校全体に示す。
・はやし立てたり、見て見ぬふりをする行為も、いじめを肯定していることを理解させる。
・いじめを訴えることは、正義に基づいた勇気ある行動であることを指導する。
・いじめについて話し合い、自分たちの問題として意識させる。

④ 継続した指導
・いじめが解消したと見られる場合でも、引き続き十分な観察を行い、折に触れて必要な指導を継続的に行う。
・教育相談、日記、手紙などで積極的にかかわり、その後の状況について把握に努める。
・いじめられた子どものよさを見つけ、褒めたり、認めたりして肯定的にかかわり自信を取り戻させる。
・いじめられた子ども、いじめた子ども双方にカウンセラーや関係機関の活用を含め、心のケアにあたる。
・いじめの発生を契機として、事例を検証し、再発防止・未然防止のための日常的に取り組むことを洗い出し、実践計画を立て、いじめのない学級づくりへの取組を行う。

Ⅴ ネット上のいじめへの対応

1 ネット上のいじめとは
 パソコンや携帯電話・スマートフォンを利用して、特定の子どもの悪口や誹謗中傷等をインターネット上のWebサイトの掲示板などに書き込んだり、メールを送ったりするなどの方法により、いじめを行うもの。

2 未然防止のために
 学校での学校のきまりの徹底・情報モラルの指導だけでは限界があり、家庭での指導が不可欠であることから、保護者と緊密に連携・協力し、双方で指導を行う。

① 保護者会等で伝えたいこと
◎未然防止の観点から
・学校は「子どもたちが携帯電話を持つ必要性はない」と考えていることを知らせる。
・子どもたちのパソコンや携帯電話等を管理するのは家庭であり、フィルタリングだけでなく、家庭において子どもたちを危険から守るためのルールづくりを行うこと、特に携帯電話を持たせる必要性について検討すること
・インターネットへのアクセスは「トラブルの入り口に立っている」という認識や、知らぬ間に利用者の個人情報が流出するといったスマートフォン特有の新たなトラブルが起きているという認識をもつこと
・「ネット上のいじめ」は、他の様々ないじめ以上に子どもたちに深刻な影響を与えることを認識すること

◎早期発見の観点から
・家庭では、メールを見たときの表情の変化など、トラブルに巻き込まれた子どもが見せる小さな変化に気づけば躊躇なく問いかけ、即座に、学校へ相談すること

② 情報モラルに関する子どもたちへの指導
 インターネットの特殊性による危険や子どもたちが陥りやすい心理を踏まえた指導を行う。
◎インターネットの特殊性
・違法情報や有害情報が含まれている
・多くの人にすぐ広まる
・犯罪につながったり、巻き込まれたりすることがある
・匿名でも特定できる
・情報は回収できない

◎子どもの心理
・自分だと分らない
・誰にも気づかれない
・見られていない
・目立ちたい

3 早期発見・早期対応のためには

① 関係機関と連携したネット上の書き込みや画像等への対応
・書き込みや画像の削除やチェーンメールへの対応等、具体的な対応方法を子ども、保護者に助言し、協力して取り組む。
・学校、保護者だけでは解決が困難な事例の場合は、警察等の専門機関との連携を図る。

◎書き込みや画像の削除
 被害の拡大を防ぐために、専門機関等に相談し、書き込み等の削除を迅速に行う。
・誹謗中傷を書き込むことは「いじめ」であり、決して許される行為ではない ・匿名で書き込みができるが、書き込みを行った個人は必ず特定される
・書き込みが悪質な場合は、犯罪となり、警察に検挙される

◎チェーンメールへの対応
・チェーンメールの内容は、架空のものであり、転送しないことで、不幸になったり、危害を加えられたりすることはないこと
・受け取った人は迷惑し、友人関係を損ねるので絶対に転送しないこと、「ネット上のいじめ」の加害者となること

② いじめが起こった場合の組織的対応
 いじめを認知した場合は、教職員が一人で抱え込まず、学年及び学校全体で対応することが大切である。学級担任が一人で抱え込み、配慮に欠ける対応をしたため、児童をよりつらい状況に追い込んでしまい、保護者とのトラブルに発展してしまうことがある。そういった状況を避けるためにも、校長がいじめ対策委員会による緊急対策会議を開催し、今後の指導方針を立て、組織的に取り組むことが必要である。